ILLUST STORY
#4魔人狩りから見たトワ
「魔人狩り」の支援者4名。彼女たちは夜海トワに命を救われている。
「トワさんの優しさに甘えず、私達は私達のやりかたで、トワさんを支えていきましょう。魔人化薬の撲滅は、私達の目標でもあるんですから」
命を救ってくれた相手への恩返しと、自分たちの目標。
そして、いまはまだ片思い中の「仲間」としての関係を、繋げていくきっかけにできるように。
「魔人狩り」の支援者4名。彼女たちは夜海トワに命を救われている。
「魔人化薬」は適合する人間を魔人に変えるが、同時に服用・注入によって陶酔や快楽を得る効果もあり、魔人化の適正がない人間に対しても、負傷の治癒や身体機能の回復といった効果が現れる。
そういった「副作用」は、裏社会での魔人化薬製造の最大手「蔵木製薬」が開発した技術だが、魔人化薬の本来の用途はあくまで「人間を魔人へと変質させること」である。
その効果は、魔人の食料確保のために重要な役割を果たしている。
魔人は人間を食料とするが、人間よりも魔人のほうがより上質な食料となる。
食料とする人間に魔人化薬を投与して魔人に変えるのは、魔人にとって「高級で豪華な食事」の準備となる。
魔人狩りの支援者たちは、そういった事例の被害者たちだった。
一人目、相沢シオリは、資産家の娘であり自身も投資家して財産を築く娘であったが、その美貌を見初めた魔人に狙われた。家族を殺され、誘拐されて薬を打たれ、襲撃者と同種の魔人――蜘蛛の魔人――にされた。
二人目、喜多森ユーナは、自身が在籍する養護施設の「卒業後の就職先」が魔人の食料や娯楽の材料になることと知り、後輩たちを守るために真相を突き止めようとしたところを襲われ、食料として魔人化薬を打たれた。
三人目、新名アオイは、自分を襲った「事故を装った家族と財産の喪失」の犯人を訴えようとしたが、警察や司法に取り合われることなく、無一文での放浪をする羽目になり、その生活の中で再び欺され、魔人の餌となるために薬を投与された。
四人目、古寺ユズは、魔人化薬や違法薬物の販売や調整を行う売人の実娘として生まれ、幼少期からその体を薬物ブレンドの実験用に使われ、身体の各所に不可逆な変化を起こしていた。
四人とも、トワが薬物販売者や魔人をターゲットとして狩りを行う過程で、偶然に出会い、トワは「結果として彼女たちを助けることになった」だけで、進んで助けにいったわけではない。
「だから、感謝されるようなことじゃない。勝手に憧れられたり慕われたりしても迷惑」
トワは彼女たちにそう明言していたし、
「事件のことも私のことも忘れて、日の当たる世界で生きて」
ということを再三伝えている。
それでも、最初の「押しかけ支援者」シオリの強引さと辣腕、資金力のおかげで、幸か不幸か、支援者たちはトワの近くにいることを(なし崩しにではあるが)黙認されている。
「わたしと二人だった頃のトワさんは、それはもう尖ってましたよ。刀を向けられたことも一度や二度じゃありませんし」とはシオリの談。
「あたしが入ったばっかのころも、今よりは尖ってたと思うけど……。アオイが入った頃からだよね、今みたいになってったのは」ユーナがアオイに問いかける。
「あたしは脅されたみたいな覚えはないかなぁ。叱られたりはけっこうあったし、『仲間や同志じゃない』ってことは何度も言われてるけど……基本は優しいよね、トワさん」 そんなアオイの言葉に、最年少で一番の後輩であるユズが答える。
「基本っていうか……優しいひとって印象しかないけどな、わたしからすると。もちろん、ブローカーとか魔人は怖いけど」
「今のトワ」については、一同が同じ感想を抱いていた。
そして、どちらかといえばその「優しい人格」のほうが、トワ本来の魂の色なのだろうということも。
トワにとっての幼なじみといえる相手――同じ篠宮の研究施設で実験体として過ごし、互いに殺し、殺されるという形でトワの形に大きな影を残した少女、日渡ナツキの事。
トワが時折わずかに語ってくれることがある、トワの両親のこと。
トワが自分の目的である「魔人化薬の撲滅」を果たした後、自身の未来をちゃんと考えることができるように、
そのために、シオリたちはトワを支えていく。
「トワさんの優しさに甘えず、私達は私達のやりかたで、トワさんを支えていきましょう。魔人化薬の撲滅は、私達の目標でもあるんですから」
命を救ってくれた相手への恩返しと、自分たちの目標。
そして、いまはまだ片思い中の「仲間」としての関係を、繋げていくきっかけにできるように。

