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「魔法少女リリカルなのは EXCEEDS Gun Blaze Vengeance」オフィシャルインタビュー
原作・脚本 都築真紀

●最初に、EXGVの放送を終えての率直なお気持ちをお聞かせください。

まずは全12話の放送を無事に終え、EXGVの物語を最後までお届けできたことに、とてもほっとしています。

●本作の企画はどのようにして成立していったのでしょうか?

当初から、「昔の作品の雰囲気を現代風に再現するリメイク作品」や「シリーズキャラクターたちのファンディスク」ではなく、2026年の時点でゼロからスタートする新作アニメとしてお届けできる内容にしよう、という方針が制作陣の間で強く共有されていました。
新たな主人公を置くこと、シリーズキャラクターの過去の出来事や因縁を持ち出さないことは明確に決まっていました。
それ以外にも、前作『Detonation』を経て大きく変化したキャラクターたち――たとえば、臨死体験を経て憑きものが落ちたようにすっかり人生を楽しんでいるなのはや、影や内気さがなくなり、仕事のできるOLさんになりつつあるフェイトを、シリーズを追いかけてきてくださっている方にも新規の方にも、同じように新鮮に見てもらえるように、というところから現在の企画がスタートしています。

●「EXCEEDS」という組織を登場させた理由をお聞かせください。

作品全体の新作としてのリスタートにあわせて、なのはたちにもEXCEEDSという組織で新たなスタートを切ってもらおう、という考えがありました。
「国連の調査機関」という設定や立ち位置には、初見の方はもちろん、シリーズをご覧の皆様にも、この世界でなのはたちがどのような役割を担っているのかを、よりわかりやすく伝えるという狙いがありました。同時に、これは作品そのもののテーマや構想とも密接につながっています。
EXCEEDSは、「異世界から颯爽と現れ、巨悪を倒して世界を平和にしてあげる戦力集団」ではありません。「その世界の人々が自分たちの力で問題を解決できるように、状況を調査し、少しだけ力を貸す」という組織として構成されています。
過去のシリーズもまた、かわいそうな子を強者が一方的に助けてあげる物語ではなく、苦境にある子や道を間違えてしまった子、迷いや悩みを抱えながら成長していく子が、どうやって望む未来にたどり着くのか、誰と出会い、どんな選択をして、どんな結末を迎えるのかという物語でもありました。
EXCEEDSは、危機にある人たちが自分たちの問題を自分たちで解決するために、ほんの少し手助けをする組織です。かつて、なのはやフェイトたちがさまざまな人たちにしてきたことが、組織としての仕事になっている。
そんなEXCEEDSに共感し、力を貸してくれる人が増えていき、また次の現場へ向かっていく。EXCEEDSは、そんな組織として作られています。

●新主人公・シイナはどんなキャラクターとして描こうとされましたか?

たったひとつの生きる理由を失った。それでも、その生きる理由そのものだった妹から「幸せに生きて」という祝福をもらい、自分の力を役立てられる仕事や、気のいい同僚、友達に出会えたから、とりあえず明るく生きている。
でもその祝福も、受け継いだものも、いつか消えてしまうかもしれない。それは意外と早いかもしれない。そうなったときに自分がどうなるのかは、誰にも言わないけれど、少し不安。それよりも、今は仕事や友達のために前向きでいないと。
そんな「明るく前向きで力強い主人公」の中にある、少しだけ「生き方を見つけられずに迷っている繊細な女の子」という一面も含めて、シイナを描けていたらいいなと思っています。
本作では、作風というか、描写の方向性として「明るくしよう、湿度を下げよう」ということを強く意識しています。
キャラクター原案を作成する際の相談でも、「思い詰めた表情でうつむいて意味深なことをつぶやいたり、自分に対してつらい覚悟や決断を強いたりするような、感情を内側に閉じ込めるキャラクターにはしない」という話がありました。これはシイナだけではなく、セツナやトワも同様だったりします。
第1話でのセツナの喪失については、制作陣の間でも賛否がありました。ただ、シイナはセツナを失ったのではなく、「少し形は違うけれど、今でもずっと一緒にいる」というのが私の考えです。

●では、トワはどんなキャラクターでしょうか?

トワは、タイトルにもある「復讐」の要素を担っている子です。ただ、復讐にすべてを賭ける復讐鬼や、復讐をヒロイックに描くダークヒーローにはしたくなかったこともあって、少し変わったキャラクターになっています。
性格的な部分では、トワは持って生まれた性格と両親の教育のおかげで、「育ちの良いお嬢さん」な傾向があります。
魔人狩りを始めてからも、初期に拾ったシオリやユーナとの関係、後に拾ったアオイやユズへの心配などもあって、拾った子たちの生活や未来を考えながら、自分の果たすべきことを果たしていく。生活感があるというとヘンですが、ちょっと独特な子になっているかなと思います。
また、トワは篠宮や蔵木が憎いというよりも、「こんな世界」が嫌だから、その世界の中で自分にできることをしたい、しなければならない、という思いで活動している傾向が強い子です。そのため、実はかなりEXCEEDS向きな人材だったりします。
第1話以前に、なのはやEXCEEDS一同がトワを見つけて会いに行くという展開も、世界線が違えばあったのかもしれませんね。説得と勧誘に成功していた場合は、第1話のラストでシイナに会いに行くのがトワだった可能性もあったのかもしれません。
第2話の時点で、シイナとトワ、魔人狩り一同が同僚としてそろっていたら、八神総督はニッコニコでしょうね。

●魔人狩りの4人はどのように生み出されていったのでしょうか?

最初はもう少し地味というか、「いっそ一人か二人に絞ってもいいかもしれない」という案もあったのですが、4人にしてよかったと思っています。
シオリ以外の3人は、社会から弾き出されてしまった子たちです。それでも、恩人であり憧れの存在でもあるトワと、世話をしてくれるシオリ、そして同じ境遇の仲間がいることで、明るく目標を持って生きることができています。
アウトロー集団なりの楽しさ、不安定で未熟なグループだからこそ生じる挫折や敗北。そして、賢くも器用でもない自分たちが、信じた人と信じた生き方を曲げずに貫く心の強さ。そうしたものを描けたのは、彼女たちのおかげです。
ところで、蜘蛛ぴー(シオリの蜘蛛)は各所で人気でした。かわいいデザインにしてもらえてよかったです。

●今回の敵役である篠宮マナと蔵木エイジにはどんな思いを込められましたか?

黒幕&ラスボス枠の二人ですが、作品全体のテーマでもある「自分が生きる理由はなんだろう」という問いに、彼らなりの形できちんと向き合っている人物として描いています。
キャラクター原案の川上修一氏との相談の中で、ある意味ではデザイン先行で現在のキャラクター性が固まっていったこともあり、書いていて楽しかった二人です。
マナは、制作関係者の皆さんからも「好き」「お気に入り」と言っていただくことが多く、とても嬉しく思っています。

●EXGVは無事に最終回を迎えましたが、これからの「なのは」シリーズの展開はどのように考えられていますか?

本作は、「令和の時代に、もう一度『なのは』シリーズをゼロから始めよう」というコンセプトで始まっています。そのため、プロジェクト名も「NANOHA EXCEEDS PROJECT」となっています。「じゃあ、すぐに次のアニメが?」と聞かれてしまうと、「あの、ごめん、ちょっと待って」とはなってしまいますが……。
ただ、本作を通じて「EXCEEDS」という組織と、その世界観を提示できたことで、シイナたちはもちろん、なのはやフェイト、はやてたちも、今度はよりのびのびと動ける環境になったと考えています。
これからも「EXCEEDS」の物語を続けていけるよう、応援していただけましたら嬉しいです。