第3話スチールa

時空管理局本局。エイミィは、リンディに今回の件のあらましを説明する。

いまはまだ眠りから覚めないが、なのはの肉体的負傷は重篤なものではないこと。

ただ、魔導師の魔力の源「リンカーコア」が異様に小さくなっていること。

それは本局を騒がせていた一連の事件と同じ流れであること。

一級捜索指定ロストロギア「闇の書」の稼働。

それはリンディらが担当する、新たな事件の始まりの始まりだった。

本局医務室になのはを見舞うフェイト。

だが丁度目を覚ましたなのはと鉢合わせしてしまい、困惑する二人。

折角の再会がこんな形になってしまったことに少し切なさを感じつつも、
それでも二人は素直に再会を喜び、微笑みあう。

なのははリンカーコアを吸収されてしまったものの、回復するまでしばらく魔法が使えない以外は日常生活に支障はないという。だが、メンテナンスルームで修理を受けているレイジングハートとバルディッシュは酷い破損状態だった。

ヴィータやシグナムたちの「魔法」に疑問を持ったアルフの質問にクロノとユーノが答える。

「ベルカ式」それはかつて、なのはやクロノたちの扱う「ミッドチルダ式」と勢力を二分した魔法体系。遠距離や広域攻撃をある程度度外視して、対人戦闘に特化した戦闘魔法。

優れた術者は騎士と呼ばれ、その手にするのは「アームドデバイス」と呼ばれる武装。

圧縮魔力を込めた「カートリッジ」を武器内で炸裂させ、瞬間的に圧倒的な魔力と破壊力を生み出す、危険な技術。そんな攻撃にさらされて破壊され、部品交換と修理を待つ自分たちのデバイスに、静かに謝罪や感謝、ねぎらいの言葉をかけるなのはとフェイト。

「ごめんね、私の力不足で」
「いっぱい頑張ってくれてありがとうね」

もの言わぬ二基は、静かにその言葉を聞くだけだった。

フェイトは今後の行動のため、保護観察官にして時空管理局歴戦の勇士、ギル・グレアムと面会する。もと艦隊指揮官、そして執務官長も歴任したグレアムはなのはと同じ世界の出身で、幼い頃にひょんなきっかけで管理局員と出会い、魔法の才能を見いだされて管理局入りしたという。なのはたちの世界の人間は魔力を持たないが、ごく希に、なのはやグレアムのように、極めて優れた魔導師資質を持って生まれる人間がいる…という事実に感心するなのは。

グレアムはフェイトに「自分を信じてくれる人のことは、決して裏切ってはいけない」という事を守れればあとは行動に制限をしないことを約束し、フェイトはそれを了承する。 

クロノにとってもかつての指導教官であり、尊敬する人物であるグレアム。

「闇の書」がまた復活したこと、自分たちが担当となったことを伝える。

グレアムは「自分が言えた義理ではないが、無茶はするなよ」と静かに告げ、クロノはそれに答える。

一方、はやて宅。狼姿のザフィーラに甘えつつ、TVを見ているはやて、ヴィータも一緒にのんびり過ごしている。明日は朝から病院だから、今夜は早めに休むように…とシグナム。

お風呂の支度が出来てるというシャマル、はやてを抱き上げて連れてゆく。

はやて・ヴィータ・シャマルの三人で入ることに。

シグナムは入らないのかを聞くシャマルに、「明日の朝にする」と返すシグナム。

一同がお風呂に行った後、ザフィーラはシグナムを気づかう。

先の戦闘において、フェイトの一撃がシグナムの防御を貫き、ダメージを与えていたのだった。

「澄んだ太刀筋だった。良い師に学んだのだろうな」とフェイトを評し、
武器の差がなければ危なかったかもしれないというシグナム。

だが、たとえそうであっても負けない。負けるわけにはいかないと、シグナムはつぶやく。 

本局では、なのはとエイミィがフェイトの話をしていた。

フェイトがリンディの娘として養子に入るかもしれないということ。

母を亡くし、孤独になってしまったフェイトをリンディは心配し、いくらフェイトが優れた魔導師でも、大人の保護は必要であり、異世界の友達と仲良くやっていったりするならなおさら…と申し出たのを、フェイトの気持ちの整理がつくのを待っている状態だという。そんな新しい絆に微笑むなのは。一方、リンディたちは今後のプランを検討していた。アースラは整備中、本局からではなのはたちの世界には数十分の転送タイムラグがあるため、本局を拠点とするわけにもいかない。

フェイトも事件への協力を申し出るが、魔法が使えなくなってしまったなのはを守りたいという気持ちもある。そんなフェイトをあまり巻き込みたくないと心配するクロノ。

そんな二人を見て、リンディは計画していたプランを発表する。

それは、アースラのドックアウトまでの間、臨時作戦本部をなのはの世界に置くということ。

その拠点は、民間協力者であるなのはの保護をかねて、なのはの家のごく近所であるということ。

その翌日。なのは宅の近所のマンションが、臨時の駐屯所として選ばれ、荷物が運び込まれる。

アルフはこちらの世界では犬として暮らすため、新形態・こいぬフォームへと変身し、ユーノもまた、こちらの世界ではフェレット形態で過ごすことにする。

挨拶に来たアリサ・すずかと出会うフェイト。

ビデオメールでやりとりしていた同士、なんとなく不思議な初対面はすぐに笑顔に変わってゆく。

リンディとともにに翠屋でお茶をすることになった一同。

アリサはアルフと、すずかはユーノとそれぞれ戯れ、リンディはなのはの両親・士郎と桃子に挨拶をする。

そして、フェイトは、週明けからなのはたちの同級生として学校に通うことになる。

夜。ヴォルケンリッター一同も、今後の計画を話しあう。管理局が出てきているので、いままでのようにはいかない。現在蒐集済みなのは、およそ340ページ。

完成の666ページまで、半分は超えた。早く完成させて、はやてと一緒にずっと静かに暮らしたい…とつぶやくヴィータ。そして、それぞれの武器を手に、散会する一同。

一方、本局のメンテナンス室。

レイジングハートとバルディッシュの修理と調整をしているエイミィの後輩、マリーは、二基が出しているエラーコードに頭を悩ませ、エイミィに相談していた。

二基が出しているエラーコードは、「必要な部品が足りない」というものだった。

そのエラーコードと要求部品を見て、驚くエイミィ。

「CVK−792」

それは、ベルカ式カートリッジシステムの部品名だった。

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